水の滴る色 (7)

2011年10月30日

明け方に起きて、メールを打つ。それからもう一度眠って、朝の八時半起床。
サマータイムは昨日で終わり。今日からはウィンタータイムらしい。サマータイムが特別なんじゃなくて、ウィンタータイムこそが特別なんじゃないか、と思うくらい、サマータイム期間は長い。

朝食はいつも通り、パンとサラミとチーズと林檎。オレンジジュースだと思っていたジュースはアプリコットだったらしい。100%なのに全然味の違いがわからないとか、どうなんだ。言われてみれば、アプリコットだ、と思ったけど、やっぱり濃過ぎる。

それから午前中、ゆっくりと準備をしたり、なんやかやとして、スカイプで少し話す。

その後はバクーの町を友人のお姉さんに案内してもらった。
14世紀に作られた塔に登る。これを人の手で作ったんだと、クレーンや車の無い時代に、人が組み上げたんだということに、素直に感動する。

海岸沿いに公園が広がっていて、その一角にサボテン。サボテン。サボテン。
遠い丘(初日に登った)の上には近未来的なビルが建設中で、その対比が面白いなぁと思ったけれど、サボテンの植えられ方も近未来的な気がした。

ショッピングセンターに入り、ひたすらうろつき、撮影をした。久しぶりに、撮った、と実感できた1日。
途中でお昼ご飯を食べる。9マナ。
ショッピングセンターのフードコートでロシア料理を食べたのだけれど、いまいち。

その後、散々歩き回ったと思ったけれど、たいしたこともなく、四時には部屋に戻っていた。
途中、鉄道駅にもう一度立ち寄り、空港に向かうバスを確認できた。よかった。
地球の歩き方には135番とあるけれど、そんなバスはない、らしい。どうかはわからないけれど、地元の人が、無い、と言い切ったのを見て、友人のお姉さんも顔でジェスチャー。「だってさ」
で、実際は何番かというと、16番。EXPRESSと書いてある、一回り小さい白いバス。これが毎30分に出発。1時間弱で着くそうな。それで水曜日は空港に向かう。

そこからホテルまでの帰り道。

ホテルに戻り着くと1人で、さっきまでアツシさんがいたり、友人のお姉さんがいたり、朝は他にも同室の人がいたりしたけれど、急に寂しいな、と思ったけれど、すぐに出ていっただけと同じ人数がまた入室したらしく、夜、スカイプの後の買い出しから戻ると、ベッドはいっぱいに埋まっていた。

夜、町は賑やか。夜は暗くて撮れない、と思っていたけれど、ストロボを使えば撮れるな、と思い、でもストロボを使ってしまうと意図から外れやしないか、と思ったりしつつ、でもやらないよりはやった方が…とも思ったけれど、カメラは持ってきていなかった。

空気が乾いている。空は群青。買い出しは明日の食料と明後日の朝ご飯。近場だとどうしても高いから、少し足を伸ばして、往復1時間歩いた。夜、というほどの時間でもなく、18時を回ったくらいで辺りは暗く、なんだか海外に慣れていない頃に台湾とかベトナムの夜の町を歩いた頃を思い出した。あの時みたいな緊張感は、無い。警戒はしていても、緊張がない、というのは大きいと思う。

人種が違ってもやる事は同じ。
何かを買って、何かを食べて、何かを飲んで、誰かと話し、体を清潔に保ち、疲れたら寝る。
その当たり前のことさえ出来れば、世界で生きていけるんだ、と実感できるのは、こういう海外での取材のために滞在してるときに、ふとしたとき、自分が行っている所作が、全て、日本での生活の延長に過ぎないと気付いたときだ。今日はスーパーの袋を持ちながら歩いているときも、風呂場で洗濯をしているときもそれを感じていた。

明日はゆっくり休もう。
どんなことでもいい、ゆっくり話せたらそれは素敵な1日だ。