水の滴る色 (10)

2011年11月3日

「日本は今日はおやすみだったんだよ」と、月兎耳の件で電話をした母が言うまで、つまりついさっき日本の日付が変わるまで、今日が祝日だったことをすっかり忘れていた。

今日は早朝に一度起きた後、もう一眠りして、それから動き出した。
まずはメトロの駅に行ってATMでお金を引き出し、昨日未納だった残りの4日分の宿泊費を納め、レシートとして発行される重要書類を渡された。コレが無いと、ポリスに呼び止められた時面倒なことになるらしい。更に、宿のおばちゃんが、「ポリスが変な要求してきても、これとパスポートとビザを提示して、それ以外は全て断ってね」と忠告してくれた。こんな忠告してくれる宿は初めてだったけれど、それだけ横行してるってことか、とも思った。
モスクワの制度はどんどん変わっているみたい。

まず、夏時間がなくなっていたことを昨日知った。今年の3月からだそうだ。
おかげでUTC+4になって、いつでも日本との時差が5時間になった、とのこと。僕のケータイも地球の歩き方も、これには対応していなかった。新事実。

今日はその支払いが終わってから、おばちゃんに教えてもらった近所のカフェに行った。昨夜から何も食べていなかった飢餓状態。そのためかビュッフェ形式のそのカフェは、学食みたいに自分でトレイに取った分だけ支払う仕組で、メインとサブ、サラダ、とがっつり取ってしまった。総じて1500円ちょっと。支払い時後悔したけれど、その後もっと後悔することに。
まず、自分の胃袋が小さくなっていた。出国時よりだいぶ小さくなっている。たった一週間なのに、同じ量が入らない入らない。更にこっちの料理は全てオイリー。僕の許容量を、半分平らげたあたりで軽くオーバーしてくれて、気持ち悪くなった。それでもカロリーが欲しかったのと、高い金はたいた意地とでなんとか完食。しんどかった。

そのカフェからメトロ駅までの間のキオスクでビターレモンのトニックを買う。最近トニックウォーターばっかり飲んでる。でも、高かった。キオスクで50Rbで、こんな高いの!?ぼった?とか思ったけれど、どこもかしこもそうだった。スーパーは大抵安いはずだけれど、そこでも35Rbはした。冷えてたからよしとする。

それからノヴォクズネツカヤ駅からメトロに乗り、 途中乗り換えが2回あるヴァラビヨーヴィ・ゴールィ駅そばの雀が丘を目指す…。ものの、5号線に乗って、2回目の乗換駅に降りようとしたら、1つ先のキエフ駅に着いてしまった。何故?と思ってもう一度反対方向に乗ると、また1つ先についてしまう。どうやら地下鉄の駅も1つ閉鎖状態らしい。
仕方なく9号線にのり、それから1号線に乗り換え、なんとか目的地へ向かうという、すごい遠回りをした。倍は時間がかかった。
でも、それだけ頑張ったかいはあった。

僕は初めての街に着いたら、丘に登るか、その街で一番高いビルや展望台なんかに登ることにしている。高いところは嫌いだけれど、街を俯瞰するといろんなことに気付けるからだ。
そして地下鉄は車窓が見えないから嫌いなのだけれど、タクシーやバス、列車の車窓はじっと見ることにしている。
そのルールに従って、今回は雀が丘に来た。
そしてその森の美しさに息をのんだ。あぁ、日光にまた行きたいなぁ、と本気で思った。
僕はそれでも日光の方が断然好きだ。

木の名前がこんな風に掲示されているのも興味深かった。でもショースナとかリストヴェンニッツァがどんな木なのか、どういう種類なのか、名前を見てもわからないけれど、こんな木なのか、とだけは想像できるから、楽しい。

モスクワ川も、森の湖畔も、水は凍ってなくて、まだ鴨が泳いでいた。
なんという穏やかな時間!まだ暖かいんだな。ロシアの気温をなめていた。もっともっと寒いと思っていた。この暖かさなら頑張れる。そして持ってきた防寒着がとても邪魔だ。

帰宿する前に、ノヴォクズネツカヤ駅そばのスーパーで人参セロリ玉葱を大量に買い込み、夕飯はスープパスタ。写真はツイッタにアップしたので、省略。
今日はこのまま、ここ、キッチンでしばらく作業して、お風呂入って洗濯して寝ます。

明日は赤の広場やマトリョーショカ博物館などに行って、美術館なんかにも行って、ゆったりします。明後日から本格的に撮るぞー。とはいっても、今日もかなり撮った。がんばる。