水の滴る色(15)

2011年11月9日
今日は朝、大寝坊をしてへこんで、オレンジジュースを呑み干し、朝ご飯を作って食べ、思い直して手紙を書いて、部屋を出た。
中央郵便局から投函。25pの安さにびっくりして、ちょっと不安だけれど、ちゃんと届くといいな。

だいぶヒゲも伸びました。

今日も雪がちらつき、でも積もっていなくて、これが高校で地理の先生が、「モスクワはまだ湿気があるから寒くないんだよ」ということなのか、と思った。路面は濡れていて、雨が降っているみたいだった。
でも、僕には十分乾き切っていて、寒くて、喉痛がまだ治らない。
今日はマフラーに顔半分を埋めて歩き回った。

でも、歩けど歩けど、人がいない。
雪の平日に外を歩いている人なんているわけない。
諦めてスタバに入る。そこで素敵な出会いが。

僕のレジを打ったのはヴィンセントという名の男の人だった。すらっとしていて、超かっこよかった。ハリウッドの俳優にこの顔いた、と思った。思い出せない。
で、キャラメルマキアートを頼んだら、「もうないんだよ、ごめん。あとこっちのマキアートも無い。キャラメルがないんだ。でもヴァニラならできる」と英語で返ってきてびっくり。
名前を聞かれたから「ナオ」と答えると、カップに「Nay」と書かれていた。それじゃ「ナウ」だよ、と思ったのだけれど、僕の名前はNaoにしても外国人には聴き取りにくい。
Nowに慣れてるから余計だ。

で、思わず、「写真撮らせて!」と言ったら、快諾してくれて、昨日の落ち込みが嘘みたいに晴れやかな気分になった。モスクワ、最初で最後のポートレートになった。

昨日、断られまくって…。と話すと、「それはロシアン・シンドロームだね。みんな寒くて塞いじゃってるんだよ」と笑ってくれた。「たとえば可愛い女の子とか、写真に撮りたい、って思うのは、普通だと思うんだけど」と彼は笑って陽気に話した。
彼は実は、僕の撮影を快諾したがために、休憩時間をわざわざ早めてもらって、撮影に臨んでくれたのだ。その心意気に多謝、もう感激。

部屋について、母からのメールでツキトジの写真が送られてきた。
日本も冬になる。冬の日射しでも、光あれ、いっぱい浴びろ、ぐんぐん育て。

明日朝早い電車でキエフへ向かう。
キエフはどんな色だろう。