水の滴る色 (9)

2011年11月2日

やっぱり移動日は一番気が張りつめていて、どっと夜に疲れが来る。
しかも初めての国、初めての街、治安悪しと噂されるモスクワの夜の街頭で道に迷うとかやっちまうと余計に、だ。

正味1時間は道に迷ってました。ほんと数メートルの違いだけで見つけられず、電話して迎えにきてもらうという惨憺たる…。
それでも優しく迎え入れてくれて、更にATMでおろす金額が少なかった為に支払いが未納部分あったりしてるのに、「とりあえず今日は遅いし、長旅大変だったでしょ。今日はゆっくり休んで、私たちは逃げないから、明日ゆっくりもってくればいいじゃない」と。優し過ぎる。
初日からモスクワの人達の優しさに心揺さぶられる思いだ。

宿は快適そのもの。
昨日までの宿が松屋レベルなら、今日からはデニーズくらいな跳ね上がり方だ。
値段は今日からのとこのが安い。ビザ、自分で手配して良かった。こんなところに泊まれるならまたモスクワ来たい。

バクーからの1日をざっと概観。
今日は朝7時に、同室のトルコ人(彼は昨晩、「俺は軍隊に行って、こんな早い時間にいつも眠らされてたよ。日本人は徴兵がなくてマジでラッキーだと思う」と22時ごろに語っていたのだけれど)のけたたましい鼾で目が覚めて(実はもっと前に目は覚めていたけれど、眠ろうと努めたのだ)、8時にベッドを抜け出し、朝食を摂りながらスカイプをした。
もう僕が起きてくると、「この日本人は必ずスカイプをしている」と宿の人に思われているらしく、みんなしきりに画面を覗いて、「こいつは俺の兄弟さ。お前もバクーに来いよ」と画面の向こうに話しかける。それを見てはるさんがケラケラ笑うのが、いいな、と思った。

バクー最終日。
午前中はそんな風にゆったりと過ごし、腰痛の気配が恐ろしかったので、というか昨夜かなり疼痛が走ったので、タクシーで空港に向かった。値段は10倍だけど、それでも2000円だものね。それでもいいやと思った。

タクシーの車窓から見えるバクー郊外の風景。

これが風土というものなんだろう、と痛感する風景。どこまでも乾燥した土壌が続き、それはオイルで焼かれてしまったからなのか、この土地の気候のせいなのか、まるで砂漠だ。
点々と生える緑は全て人の手によるもので、繁茂する緑を美しい自然だと擦り込まれている日本人には、荒涼とした風景にしか見えない。でも、これが暖かい、なんともいえない穏やかな風景に思えて、僕はずっとガラス窓に額を押し付けて眺めていた。

空港に着くのは早すぎた。でもおかげでのんびりと時間を過ごせた。
飛行機ではとなりに座ったロシア人の老夫婦と少し会話をして、でもおっちゃんが途中で飛行機酔いしたみたいで、吐いていたけれど、その後の機内食は 完食していて、もしかすると酔ったんじゃなくて、なにかよくないものを体に入れたのかな、とも思った。ドリンクサービスの直後だった。

空港からはアエロエクスプレスで市内へ一直線。

モスクワ=ベラルーシ駅からメトロで宿の最寄り駅まで行って、そこからは、冒頭に書いたような目に遭って、 今に至る。
ざっくり書いたモスクワ0日目。
明日明後日はのんびり高台に登ったり、観光したりして、街の雰囲気を掴みます。

PS:
この宿は24時間WiFi飛んでて、寒くないし、今キッチンでこれを書いたりしていて、快適です。